歴史学にもしはタブーではない

 ¨歴史学にもしはタブーである¨とされてきたが、それが歴史学を現実肯定の学にし、未来志向に役立たない非実用の学にしてきたのではないだろうか。

 わたしも史学科に入学して以来、田中 彰氏の「歴史における未発の可能性」という概念に接するまで、¨歴史学にもしはタブーである¨と深く考えもせずに思い込んでいたのであるが、たとえば
敗戦後の日本には、米国の半植民地になるしか選択肢がなかったわけではないだろうし、先日も日露平和条約交渉で、歯舞・色丹の日本に引き渡した場合、日本は二島に米軍基地を置かないという約束を実行するほどの主権があるのだろうかとプーチンに言われた。つまり、日本政府には二島に米軍基地を置かないという選択肢もあるということである。