江戸期の花弁園芸文化ー中尾佐助(花と木の文化史)ー

江戸期に大改良された品種で、西欧に大きな刺激をあたえたのは、ツツジ、サツキ、アサガオ、ハナショウブ、カキツバタ、アヤメ、……、カエデ、などである。それ以前からの、サクラ、ツバキはいうまでもなかろう。「栽培植物の世界」でも述べたが、日本文化史…

『彗星の孤独』ー寺尾紗穂ー

血だけでないつながりは、未来を明るくする鍵かなと思う。きずなが強い家族でなかったことで、かえって見えた部分があったのかも知れません。

江戸時代の花弁、庭木の大発達ー中尾佐助(栽培植物の世界)ー

日本が今日の世界文明に貢献した要素として、江戸時代の花弁、庭木の園芸成果は非常に大きい。浮世絵が西洋文化に与えた刺激より、園芸植物の与えた影響のほうがはるかに大きい…。そのことを日本文化史の研究者はまったく認識していない。

本を書くことは恥をかくことだー中尾佐助ー

私は、本を書くことは恥をかくことだと思っている。まちがいがどうしてもまぎれ込むし、認識不足や足らないところが出てくるものだ。こういう意味で他の書を見ると、欠陥はずいぶんあるのが常だ。しかし欠陥をおそれ、完全無欠を追求すれば、それはもう、も…

感動のコンテンツに毒された社会

感動コンテンツに毒された社会不道徳お母さん講座 私たちはなぜ母性と自己犠牲に感動するのか著者:堀越 英美出版社:河出書房新社ジャンル:哲学・思想・宗教・心理「ごんぎつね」に感動させてどうする気? 母さんライターが歴史をさかのぼり、日本人の「道…

単純から複雑への疑問

加藤尚武『教育ヒューマニズム批判』 (雑誌・現代思想1985年11月号・特集=教育のパラドックス) 「リニアーなプログラム」主義への疑問甘口な教育ヒューマニズムが問題にする「落ちこぼれ」は、彼等が信じて疑わない「リニアーなプログラム」の生み出すものである。普通ス…

世界における索引と徴候

中井久夫《世界における索引と徴候》 ー『徴候・記憶・外傷』ーふたたび私はそのかおりのなかにいた。かすかに腐敗臭のまじる甘く重たく崩れた香り一、それと気づけばにわかにきつい匂いである。それは、ニセアカシアの花のふさのたわわに垂れる木立からきて…

同種とその異性を認識する

中尾佐助「分類の発想―思考のルールをつくる一」「アイデンテイテイ」 地球の上に生きている生物は、植物と言わず、動物といわず、微生物といわず、いずれもある形式の分類能力を持っている。それは生物はことごとく原則として有性生殖をしており、同種(スピーシス)…

歴史とはなにか

上野千鶴子「方法の問題」(「ナショアリズムとジェンダー」) 歴史とは、「現在における過去の絶えざる再構築」である。歴史が過去にあった事実をありのままに語り伝えることだというナイーヴな歴史観は、もはや不可能になった。もし 歴史にただひとつの「真実」しかないとした…

人生とはその人の回想である

斉藤 学「封印された叫びー心的外傷と記憶」ある人の人生とは、その人の回想のことである。個々の記憶の内容が、前後関係を位置づけられて並んだものが、その人の人生であり、つまり自分自身である。その人の記憶はその人の現在の必要を示す。……記憶は、その日…

純粋な知的好奇心はデガダンスである

大学生を相手にした対話では、「純粋な知的好奇心」が学問に必要だと述べている。それは、研究の社会に向けた意味を問う視点からすれば、一種の頽廃であろうが、「デカダンスはかなわんと言う倫理主義者、まじめ主義者には学問は向かない」。 一丸山真男対話…

歴史学にもしはタブーではない

¨歴史学にもしはタブーである¨とされてきたが、それが歴史学を現実肯定の学にし、未来志向に役立たない非実用の学にしてきたのではないだろうか。 わたしも史学科に入学して以来、田中 彰氏の「歴史における未発の可能性」という概念に接するまで、¨歴史学に…

栽培植物&雑草&野草ー中尾佐助(栽培植物の世界)ー

栽培植物が人類の最も重要な文化財であるならば、植物界にはそれに準じた大きな存在が一つ見られる。それは雑草である。雑草と野草とはどう違うかというと、その第一点は、雑草は人間のつくった環境に生じるということだ。畑とか道ばた、空閑地といったとこ…

栽培植物・家畜・花弁・微生物ー中尾佐助(栽培植物の世界)ー

栽培植物は人間の意識的保護のもとに生長している植物であると定義できよう。動物界でもほとんど同様で、そこには栽培植物に対して家畜という存在がある。キンギョやカナリヤなどは普通は家畜のなかに数えない人が多いが、家畜の意味を広義にとれば、こんな…

折々のことば1328(鷲田清一)ー川喜多二郎ー

受け身の心がなく、積極的に外に働きかけようとするだけのプランには、どこかに嫌味があり不自然さがある。 (川喜田〈かわきた〉二郎) ◇ KJ法という、情報整理と創造性開発のための思考と議論の方法を考案した文化人類学者の言葉。知的にであれ政治的に…

女にとって「失われた母語」ーフリーク上野千鶴子ミドナイト・コールー

E.M.シオランというルーマニア生まれの亡命作家がいる。パリに移住しフランス語で著作活動をした。外国語で自己表現するほかないつらさーわたしには、この亡命作家の嘆きがよくわかる。女の状況も似たようなものだからだ。自分を語ろうとすると、その言葉は…

女帝への共同参画不要ー上野千鶴子ー

「女帝への共同参画不要」 引用 上野千鶴子「天皇制」と伝統文化一論議のために一 朝日新聞・夕刊8/17/'08 権威への共同参画不要 若者のあいだに広がる無関心 憲法を改正するなら、第一条から手をつけるべきだろう。国旗や国家、富士山や桜が、日本の「象徴」だと…

下ネタは上ネタだー上野千鶴子ー

「『下ネタ』は『上ネタ』だ」 引用 上野千鶴子 「上野千鶴子が文学を社会学する」所収「『性幻想一ベッドの中の戦場へ』は静かな挑戦の書である。文庫版の本書が刊行されたのは1990年、今から10年前である。『性幻想』というタイトルは今でも衝撃的だ。…

木下直之「ハリボテの町」

「木下直之 「ハリボテの町」」 引用 わたしは、この本が1996年に出版された当時、知人にすすめられたにもかかわらず、「ハリボテの町」という書名が、映画セットの“うすっぺらさ”を連想させたので、ろくに読まずに返却したことを後悔しております。わたし…

横尾忠則なんという無礼なー三島由紀夫の寄稿文(1966年横尾忠則個展への)ー

「横尾忠則なんという無礼な」 引用 三島由紀夫―1966年・横尾忠則個展への寄稿文―横尾忠則の作品には、全く、われわれ日本人の内部にあるやりきれないものが全部露出していて、人を怒らせ、怖がらせる。何という低俗のきわみの色彩であろう。招魂社の見…

美術という見世物ー木下直之ー

美術という見世物 木下直之『乍憚口上』(「美術という見世物」)現代人が美術と呼んでいるものも、この国に昔からあったわけではない。体操の歴史に似て、美術もまた、官が民に教え込んできたという歴史を持つ。美術学校とはそのための施設である。美術学校を頂…

花田清輝の太宰 治論ー二十世紀における芸術家の宿命(錯乱の論理)ー

花田清輝の太宰 治論 二十世紀における藝術家の宿命ー太宰治論ー 花田清輝「錯亂の論理」眞善美社 「オルソドクシー」のなかで、チェスタートンは、イギリスの快走艇操縦者が、いささか航路をあやまり、その結果、南海の新しい島だとばかり信じながら、實はイギ…

魯迅の傑作「故事新編」ー花田清輝ー

魯迅の傑作故事新編花田清輝 「魯迅」(『文学』1956年10月号原題「故事新編」)戦争中、しばしば、わたしは、魯迅の『故事新編』についてかいた。とりわけ何度もとりあげたのは『鋳剣』で、青衣をまとい、青剣を背負い、暴君をたおすために、城内にむかってひた走…

津島佑子さんを悼むー哲学者柄谷行人(虐げられたものへ愛と共感)ー

津島佑子さんを悼む哲学者柄谷行人 2016-02-25 12:00:00朝日新聞 2016.2.23 虐げられたものへ愛と共感哲学者・柄谷行人 私が中上健次に紹介されて、津島佑子に会ったのは、1970年代の末ごろである。 彼らはかつて同人雑誌「文芸首都」の仲間であった。私…

友情とは相互の軽蔑の上にー中野好夫(「悪人」礼賛)ー

友情は相互の軽蔑の上に中野好夫はエッセイ「悪人礼賛」のなかで、“友情”について常識をくつがえす、下記のような定義をしている。友情というものがある。一応常識では、人間相互の深い尊敬によってのみ成立し、永続するもののように説かれているが、年来ぼ…

ウーマン村本THEMANZAIでまたも時事ネタ

ウーマン村本THEMANZAIでまたも時事ネタLGBTも…ネット大反響12/9(日) 22:11配信 漫才コンビのウーマンラッシュアワーが9日、フジテレビ系「Cygames THE MANZAI2018 マスターズ」に出演し、昨年に続き沖縄基地問題、原発問…

時事漫才

土人発言府知事看過

土人発言府知事看過ー2018年12月03日(朝日新聞・夕刊)ー津嘉山さん「心の奥底に差別」沖縄で生まれて20歳のとき、船で2泊3日かけて上京。以来、東京で俳優の道を究め、声優としても活躍する津嘉山正種さん(74)。基地問題も含めて、いまの沖縄をどんな…

マスメデイアは元貴乃花親方を甘やかしすぎてはいまいか

第一に、マスメデイアは、元・貴乃花は大横綱だったというが、とんでもない。同部屋に横綱、大関、関脇、小結がいたからである。 ここ二年に起きた貴ノ岩にからむ訴訟事件に関しても、果たして本人の意志だけだろうか。すくなくとも、最初の仕掛け人は、貴乃…

茄子科植物(食材・煙草・麻酔薬など)ー異国美味帖(塚本邦雄)ー

茄子科植物は、一方に茄子・馬鈴薯・ピーマン・蕃椒(トウガラシ)・などが控え、クコのような薬用果実もあるし、酸漿もこの仲間だが、他方には猛毒植物も目白押しに並んでいる。すなわち、ニコチンを含むタバコ、ヒヨスチアミンとアトロピンの巣窟、ダトウラ=朝…