東電と政府は、廃炉をおそれて、米国の支援を拒否したのか?

郡山市長は、3月19日、午後2時から郡山市災害対策本部(開成山野球場内)おいて、原発事故に対する市長記者会見をおこなって政府と東電を痛烈に批判した。

郡山市災害対策本部 本部長 原 正夫 郡山市長より

原発事故に関しましては、今日まで、国と東京電力の事故に対する対応のあり方について正確に情報を把握することができませんでしたが、本日の新聞報道を見て大変驚きました。

国と東京電力は、郡山市民、福島県民の命を第一とし、原発廃炉」を前提に対応しているものと考えておりましたが、国・東京電力は、今後の産業・経済を優先し、「廃炉」を前提としたアメリカ合衆国からの支援を断ったことは言語道断であります。

私は、郡山市民を代表して、さらには、福島県民として、今回の原発事故には、「廃炉」を前提として対応することとし、スリーマイル島原発事故を経験しているアメリカ合衆国からの支援を早急に受け入れ、一刻も早く原発事故の沈静化を図るよう国及び東京電力に対し、強く要望すると同時に、この件に関し、海江田経済産業大臣に直接電話で要請いたしました。

また、佐藤県知事、佐藤県議会議長及び渡辺いわき市長などと電話連絡をとり、市民あげて、さらには県民の方々と一緒に国と東京電力に強く訴えたいと思います。

お集まりの報道機関の皆さまにおかれましては、この趣旨をご理解いただき全国民の皆さまに、さらには、全世界の皆さまにこのメッセージを報道していただきますようよろしくお願いいたします。

質疑

Q 海江田経済産業大臣にはどういった内容を要請したのか。また、地震発生から一週間が過ぎたが、このタイミングに要請を決めたきっかけは?
<原市長> 県民の安全安心、そしてこれからの日本を考えた場合、原発事故を完全に封じ込めることが大事。現在、国、東京電力はいろいろな手立てをしているが、今現在の状況での手立てのため、今後万が一大きな余震が来た場合、これを継続できるか、という危険な状態にある。そのことを大臣に、政府の方針としてしっかり取り組んでいただきたいと訴えた。具体的には、福島第一原子力発電所廃炉を前提とした対応、そして、アメリカ合衆国の支援の受入れ。我々はこれまでの原子力事故を経験してこなかった。そもため、スリーマイル島原子力発電所事故を経験し、ノウハウのあるアメリカの協力を得ながら対処すべきと考える。
きっかけは、今日の新聞を見て、国と東京電力の対応が正しくはないと思い、私なりの判断で行動をとった。

Q 海江田大臣に要請したのは今日(3月19日)のいつごろか?
<原市長> 11時ごろ。

Q 海江田大臣からの反応は?
<原市長> 要請があったことをしっかり受け止めて対処していきたいとのこと。

Q 県知事やいわき市長などにも話をしたということだが、他に賛同されている自治体は?
<原市長> 福島市長、田村市長、須賀川市にも電話をして、国に働きかけをしましょうと訴え、ぜひやりましょうと賛同いただいた。他の自治体は郡山市以上に不便をしている。郡山市は他の自治体と比べ順調に皆さんのご協力をいただいている。

Q いわき市長も、県知事も賛同されたのか?
<原市長> はい。いわき市長は物資が入ってこなくて大変だと言っている。いわきへの物資は郡山を中継しているが、運送サイドがいわき市までは運べないということなので、いわきの人が郡山まで取りに来ている状況。

Q 他に電話した方は?
<原市長>増子参議院議員、根本前衆議院議員、斎藤自民党県連幹事長、熊谷市議会議長を通じて県市議会議長会、郡山商工会議所に対して働きかけをするようお願いした。


上記に引用したような郡山市長の批判が19日に、あったにもかかわらず、

20日の記者会見で、枝野官房長官福島第一原子力発電所について、「客観的な状況として、再び稼動できるような状況に“あるのかどうかは”はっきりしている」と述べている。

そして東電関係者は、21日、朝日新聞記者に、損傷なない5、6号機についても「地元の“住民感情”を考えると廃炉にせざるを得ない」と述べている。

“地元の住民感情”だの、“せざるを得ない”だの、“できないと”言わずに、“できるかどうかは”………などと言う、東電と政府は、いったい何者なんだろうか。